ネットワークの可視化が小売業の成功に重要な理由

による投稿 2018年11月6日
2018年11月8日

今、「デジタル革命」が小売業そして年末商戦のビジネスに求められています。ネット販売サイトの運用担当者にとっても、オムニチャネルのリテール戦略担当者にとっても、「デジタル世界」の顧客体験の豊かさと体感スピードは非常に重要な問題です。2017年の年末商戦時の売上6,191億ドル(約76兆円)の結果から見えた教訓の1つが、デジタル世界の顧客体験価値が売上に大きく影響していることでした。

アカマイのオンラインリテールレポートによると、2017年のブラック・フライデーとサイバー・Mondayでは、英国、ドイツ、フランス、スペインで大きな変化があり、特に2017年の英国のブラック・フライデーではオンラインでの購買率が42%も上昇しました。この実績からも、2018年のクリスマスとホリデーシーズンが近づくにつれて、デジタル世界の顧客体験価値とスピード向上のための自社サイトの最適化は必要不可欠ですが、さらに外部リソースへの依存度増大から生じるリスクへの対処のための可視化が重要となります。

より良い「デジタル世界」に必要な顧客体験価値の向上

デジタル世界の顧客体験価値向上を目指す小売業ビジネスの構築に、外部プロバイダが提供するマイクロサービスへの依存がますます高まっています。 Yottaa発行の2018年の小売業システム調査レポートでは、顧客体験価値向上の競争が繰り広げられる中、eコマースサイトが利用するサードパーティ提供のマイクロサービスへのリクエストが、前年度の平均30~40回から139回まで増え、前年比で50%増加していました。

この調査で明らかになったことは、ショッピングサイトへのアクセス増大により、ウェブサイトのパフォーマンスが大幅に悪化したことで、アプリ開発者は自社サイトの最適化に加え、連携するマイクロサービスのパフォーマンステストや最適化も行う必要性があるということでした。

一方、オンラインセールスの担当者は、外部マイクロサービスの急速な成長に注意する必要があります。

なぜなら、優れた顧客体験価値を提供するためには、実際にユーザーが体感するサービスレベルと、バックエンドのマイクロサービスのパフォーマンスの両方に影響を与える外部要素全てを考慮しなければならないからです。

すなわち、ショッピング体験を提供するフロントエンドのサイトやバックエンドのオンラインショッピング技術は、自社開発のアプリケーションコードとは全く関係ない、外部環境に依存する場合があるのです。

図1:ユーザーからアプリまでのネットワークを全て可視化
図1:ユーザーからアプリまでのネットワークを全て可視化

外部リソースへの依存

1. DNS. DNSの問題により、サイト自体やサードパーティのプロバイダーの可用性が失われたり、応答が遅くなる可能性があります。その最も一般的な原因の一つは、URLの解決時間が遅いことです。また稀な例ではありますが、脅威となるのは、正規サイトのIPアドレスやAPIのエンドポイントURLから、トラフィックをリダイレクトされるDNSレコードのハイジャックやキャッシュポイズニングなどのセキュリティ問題です。 2016年のDynのようなDDoS攻撃は、信頼できるサーバーにも関わらず、リゾルバからのDNS要求に対して答えることができなくなりました。 また、DNSの問題は、自社サイトとプロバイダ側が異なるDNSプロバイダーを利用している場合があり、より複雑になります。

2. BGPルーティング インターネットが自社サイトやプロバイダにトラフィックをルーティングできない場合、ショッピングサイトやデジタルサービスを配信するプラットフォームに障害が発生します。インターネットは世界中の何千というISP間のベストエフォートの信頼関係に基づき動いているため、障害の原因となるBGPの設定ミスはいつでも発生しえるのです。さらに、AmazonのRoute 53サービスに対する攻撃などの悪意を持ったBGPハイジャックでは、自分のトラフィックやプロバイダからトラフィックをリダイレクトされる可能性があります。

3. ISPとの接続 マイクロサービスのプロバイダーはインターネット上でサービスを提供しており、顧客体験価値は、数十から数百のISPに依存していることになります。アップストリームのISPやインターネット上の途中のISPでの障害により、重要な通信が中断される可能性があります。

4. データセンターとパブリッククラウド プライベートのデータセンターにオリジンサーバーがある場合でも、AWSMicrosoft AzureGoogle Cloud Platform(GCP)などのパブリッククラウドプロバイダに一部のコードをホストしている場合があります。パブリッククラウドのリージョンとアベイラビリティゾーン間の到達可能性、パス、パフォーマンスは、各プロバイダとリージョンによって異なります。また遅延や障害により、アプリケーションが重要な外部マイクロサービスにアクセスできなくなります。たとえば、2018年5月に発生したAWS US-East-2リージョンでの障害時には、PayPal ( Braintree Paymentによるクレジットカード処理)、Salesforce.com、Rackspaceのホスティングサービス、アカマイなどのCDNにアクセスできなくなりました 。

5. CDNとDDoSセキュリティプロバイダ Akamai、Fastly、AWS CloudFront、CloudflareなどのCDNプロバイダは、グローバルな視点で優良な顧客体験を提供するために不可欠です。さらに多くのCDNはDDoS対策サービスも提供しています。このCDNで起こりうる1つの問題は、ユーザーが最適なCDNエッジサーバーに接続していない可能性があることです。あるいはホストされているエッジサーバーからオリジンサーバーへの通信が中断されるケースです。 DDoS攻撃を受けた場合でも、DDoS対策サービスによってサイトへのアクセスを守ることはできますが、ユーザーが体感するサービスレベルが損なわれた場合には、オンライン販売の損害やブランドへの影響は少なくないでしょう。

図2:デジタル監視と可視化メニュー
図2:デジタル監視と可視化メニュー

重要なネットワーク可視化

ユーザーと外部プロバイダのそれぞれの根本的な依存関係をすべて管理することはできないので、ネットワークの可視化は非常に重要です。従来型のネットワークの可視化は、自社が所有または管理できるインフラのみ管理できるよう設計されていました。一方、最新のネットワーク可視化は、ネットワークだけでなく、インフラ、サービスをまたいだ管理を可能にします。「デジタル世界」の監視には、アプリケーションとサービスの可用性と応答時間、DNSパフォーマンス、BGPルーティングの動作、インターネットを含むエンドツーエンドの接続性、CDNやDDoS緩和サービスのプロバイダのパフォーマンス等の監視が必要になるのです。これらの可視化無しでは、ますます増え続ける外部リソースへの依存によりサービス継続性へのリスクは高まり、その管理と運用は非常に困難となります。顧客からの信頼を失ってからでは手遅れとなる大きな問題です。

小売業の収入の30%以上が休日の売上に依存し、今や「デジタル体験」は小売業のくさびとなっています。小売業の成功に非常に重要なネットワークの可視化については、こちらのeBookをご覧ください。